田代山林道で見られる高山植物の花 
- 投稿者:うーたん 栃木県
- (投稿日:2014/09/18 / 更新日:2014/09/18)
WebMasterのうーたんです。
高山植物というと日本アルプスや八ヶ岳や大雪山など登山の世界と思われがちですが、田代山林道の田代山峠には見事なくらいに高山植物の花が咲いています。
林道を走ると、速度が速いので路肩に咲いている花には気づかずに過ぎてしまいがちです。わたしも100回以上も田代山峠を越えていますが、高山植物の花が咲いているのにこれまで気がつきませんでした。
田代山峠の約2kmの区間、ほぼ全体で花が見られるのですが、密度が濃いのは南会津町寄りの方です。
今回走ったのは2014/9/6とすでに秋の気配が漂う季節でした。
晩夏から初秋にかけての花が咲き乱れていたので、紹介します。
ここでは、単に写真を掲載して種名を述べるにとどめず、植物分類学的な花の特徴や分布域なども述べて行きます。
田代山峠
- 投稿者:うーたん
- 投稿日:2014/09/18

田代山峠の写真です。
この峠は日本の林道の峠の中でも指折りの美しい峠です。
キオン
- 投稿者:うーたん
- 投稿日:2014/09/18

キオンはキク科キオン属の花です。
キオンは高山植物では無く、主に山地や亜高山帯の日の当たる所に咲いています。
特徴は、五枚の花びら(正確には舌状花)を持つ事と、小さな黄色い花が密度高く咲いていることと、葉の形状が鋸歯状で切れ込みが無いことです。
分布は広く、北海道から九州まで生息しています。年間平均気温の低い北海道の道東地方や道北地方では海岸線や道ばたでも見ることが出来ます。
花の季節は8月から9月にかけてです。この花が咲き始めると、秋の気配を感じます。
ちなみに、最新の植物分類学の分子系統学的解析によれば、キク科の植物はバラ科の植物と共に、最も進化した植物の一類であることが分かってきました。
アジサイ
- 投稿者:うーたん
- 投稿日:2014/09/18

アジサイ科アジサイ属の花です。
紫陽花寺などで見られる栽培種の原種となったのがこのアジサイです。
ヤマアジサイ、ガクアジサイ、サワアジサイなどが栽培種の原種と言われていますが、植物分類学では、全てアジサイに分類されることが殆どです。
一般に花と思われている部分、写真では青い花びらは、実際には花では無く萼です。
花の色が日を経るにつれ変わって行くことが知られています。
ちなみに、植物分類学は種の分類はある程度共通なのですが、その下の亜種や変種の分類となると、植物学者の数だけ亜種や変種があるのではと思うほど、学術的な統一性がありません。また、種をどの属、どの科に分類するかも、植物学者によって異ななることが多くあります。
しかし、遺伝子の塩基配列を読み解いて分類する、分子系統学が発達するにつれ、こうしたいかがわしさがなくなりつつあります。
ヤマトリカブト
- 投稿者:うーたん
- 投稿日:2014/09/18

キンポウゲ科トリカブト属の花です。
漢字では山鳥兜と書きます。「鳥兜」の名前の由来は雅楽などで見られる烏帽子から来ていると言われていますが、わたしには、「鬼上官」と恐れられた戦国末期の豪傑の加藤清正の烏帽子兜を連想してしまいます。
ちなみに、鬼上官の「鬼」とは中国語で幽霊のことで、中国の幽霊は烏帽子をかぶっているので鬼上官と呼び、武勇を恐れたと、海音寺潮五郎が解釈をしています。(日本語では「鬼半蔵・服部半蔵のこと、鬼武蔵・森蘭丸の兄の森武蔵守のこと」などの様に武勇に優れているが単純な武者を畏敬して「鬼なにがし」呼んでいる)
トリカブトの仲間は、根に猛毒を持っている事で知られていますが、山地や亜高山帯では最も普通に見られる花です。
濃い紫の花が特徴的なのですが、種類によって葉の形状が全く異なるので、区別がつきます。
マルバダケブキ
- 投稿者:うーたん
- 投稿日:2014/09/18

キク科メタカラコウ属の花です。
漢字で丸葉岳蕗と書きます。
図々しいと感じるくらいに背丈の高くなる花で、大人よりも高くなることもあります。
黄色く大きな花(舌状花)と濃い焦げ茶色の総苞のコントラストが特徴的です。大きさと花の色から目立つので、わたしもこの花が咲いているのをみて、田代山峠に高山植物が咲くのを知りました。
正真正銘の高山植物で、森林限界の上の高山帯に生息しています。この近くでは、日光白根山から前白根山の、森林限界を越えた稜線に大きな群生があります。
また、南アルプスの塩見岳と北荒川岳の森林限界を越えた標高2500m付近の稜線にも大きな群落が見られます。
本州の中部山岳地帯以北の主に太平洋側に分布していますが、四国でも見られるそうです。
ソバナ
- 投稿者:うーたん
- 投稿日:2014/09/18

キキョウ科ツリガネニンジン属の花です。
漢字では岨花と書きます。嶮岨の様に、見上げる崖などで多く見られるためにこの字が使われたと言われています。
紫色のラッパの形をした花が、茎に縦に幾つも咲きます。
山地の日の当たるところに咲く花です。
ツリガネニンジン
- 投稿者:うーたん
- 投稿日:2014/09/18

キキョウ科ツリガネニンジン属の花です。
漢字では釣鐘人参と書き、花が釣り鐘の様で、葉や根が朝鮮人参に似ている事から名付けられました。
若芽は食用になります。
山地の日の当たる所に咲いています。
シオガマギク
- 投稿者:うーたん
- 投稿日:2014/09/18

ゴマノハグサ科シオガマギク属の花ですが、分子系統学的解析によって、ゴマノハグサ科は分解してしまったので、現在の所は、シオガマギクの仲間がどの科に属するのか、分かりません。
巴紋の様にねじれた様に咲く花が目立ちます。漢字では塩竃菊と書きます。
北海道から九州まで自生しています。
エゾリンドウ
- 投稿者:うーたん
- 投稿日:2014/09/18

リンドウ科リンドウ属の花です。
花が殆ど開かないことで知られています。似た様な花にオヤマリンドウがありますが、オヤマリンドウが茎の先端にしか花を付けないのに対して、エゾリンドウは茎の先端や葉の付け根から花を咲かせるので区別がつきます。
漢字では蝦夷竜胆と書きます。北海道の旧名の蝦夷が着くので北海道の固有種に思われがちですが、本州の中部山岳地帯以北でも普通に分布しています。
この近くでは那須岳のエゾリンドウが数多く咲くことで有名です。
ヤマハハコ
- 投稿者:うーたん
- 投稿日:2014/09/18

キク科ヤマハハコ属の花です。
花がドライフラワーの様に乾燥して見えるのが特徴的です。
中部山岳地帯以北の日の当たる草地に生えます。
(この花は母種のハハコグサかもしれません)
漢字では山母子と書きます。
茎や葉や花の咲き方がエーデルワイス(薄雪草)に似ているので、初めて見た人はエーデルワイスと間違えるかもしれません。
本当の花は、中心の黄色い部分だけです。筒状花と呼びます。白い部分の花びらに見えるのは総苞片です。
明日見に行こうかな
- 投稿者:tomitomi
- 投稿日:2014/09/22
明日の9/23天気が良かったら田代山林道に行こうかなと思っていたので,注意してみようと思います。きれいな花たちですね。